前略　いかがお過ごしでしょうか

このような突然のぶしつけな手紙をお送りして、あなたには迷惑だろうというのは、よくわかっております。ですが、どうかわたしの思いを少しでもあなたにわかっていただきたく、このような手紙を書きました。

あれはもう半年も前のことでしょうか。わたしには時の流れるのがとても早く感じられて、ついこの間の事のように思います。覚えていますか？ あの真冬の打ち上げ花火を。二人で見たあのクリスマスツリーを。

わたしたちが過ごした２年間っていったいなんだったんでしょう。
楽しかったのは、ほんと、はじめの３ヶ月ぐらいだったかもしれませんね。
その後は憎しみと悲しみのごった煮で、わたしの生活はめちゃくちゃになってしまった。

あなたは忘れてしまっているかもしれないけれど、真夏のバーベキューの残りを必死になって食べたのは、とても苦しかったわ。
あなたは、ひとりで勝手にいびきをかいて寝てたけど……

あの二人で参加したクイズ大会もひどかったわよね。
せっかく決勝戦まで残って、この１問を正解すれば、ヨーロッパ旅行だっていうときに、あなた間違えた答えを言ってしまったじゃない。
「アメリカの首都は？」という問題に、あなた、「ハワイ」はひどいわよ。
誰だって「ニューヨーク」と答えられるわよ。
あなたに答えさせないで、わたしが答えていたら今ごろヨーロッパの土産話に華が咲いていた頃よ。絶対そうだわ。きっとそう……あれ？「ワシントン」だったかしら……

とにかく、わたしが言いたいのは、あなたは疫病神だってこと！
だいたい、あーでもない、こーでもないって不満ばかり口にしていながら、あなたは全然働こうとしないじゃない！
わたしの靴磨きの仕事の稼ぎにも限度があるっていうんだよ。
それなのに、車がほしいだ？ ゴルフに行くだ？ 女買うだ？
冗談こくんじゃねえっつうんだよ！！

いったいわたしは、お前のなんなんだってゆうんだよ！
もう、ぎっちゃんぐっちゃんにして、どぶに放り込んでやる！！
てめーなんか、公衆便所のこびり付いたクソなめてりゃあいいんだ！！
バカヤローーーッ！！

草々