３億円当選者名乗り出る！

　先月21日に発表されたサマージャボン宝くじの１等前後賞あわせて３億円の当選者が、昨日午後、弊社社会部に現れ、喜びの心境を語ってくれた。（写真：喜びの言葉を語る当選者と驚きを隠せない記者たち）
　名乗り出たのは、東京都江戸山区に住む鉄筋工の萩沼玄三郎さん（56）（愛称：玄さん）で、世の中の幸せを独り占めしたような満面の笑みで、弊社記者のインタビューに答えてくれた。以下、記者との一問一答。

── 宝くじは、どこで買ったのですか？
玄さん： いやあ、買ったんじゃないんだよー。うちのおっかさんが米買ったらよ、なんかの記念セールかなんか言ってさあ、米屋のはっさんが10枚ばかりくれたんだよ。おれは当たるわけねえと思ってたから、もらったこともすっかり忘れてたんだけど、おっかさんはしっかり覚えといて、当選発表の日に番号確かめたら、当たっとったってわけなんだよ。いやあ、びっくりしたわ。
── 当たったと知ったときどういう気持ちでしたか？
玄さん： どういう気持ちもなにも、まさか、っていう気持ちだわさ。おれはおっちょこちょいのおっかさんの性格をよくわかってるからよ、自分で確かめてみたんださ。そしたら、まぎれもねえ、１等の番号とおんなじでよ、さすがに、10階建てのビルの上で骨かついでても（編集部注：工事中の10階建てのビルの足場の上で鉄骨をかついでいても）びびらねえおれが、こんときばかりは手が震えたね。
── 周りの反応はどうでしたか？
玄さん： いや、黙っているつもりだったんだよ。ほら、うるせえだろ。おごれ、とか、金貸してくれっていうヤツが寄ってくるからよ。だから、おれは黙ってたんだけど、例のおっちょこちょいのおっかさんが、米屋の旦那に礼をしなきゃ気がすまねえとか言って、菓子折り一つ持ってったのが運のつきよ。米屋のはっさんも、３億円当たっておいて菓子折りひとつかよ、っていう気持ちもあったんだろうな。くる客くる客、あいつんとこ３億円当たったってよ、って言いふらしやがってよ。米屋の情報網はすげえな。次の日には会う人会う人、おめでとうだの言ってくるんで、照れくさくってかなわねえや。
── ３億円の使い道は？
玄さん： いや、これが困ったものよ。３億円っつったら大金よ。とりあえずボロ家を建て直そうってことにはなったんだけどよ、建て直すったって、5000万ぐらいで立派なものができちゃうんだとよ。まだ、２億ちょっと残っちゃうんだよな。おっかさんは、一度でいいから赤阪の高級料亭なんぞに行ってみたいとか言ってるけど、あんなとこ10日行ったら飽きるにきまってるしな。残りはせいぜい、おれの死んだ後に立派な墓でもたててもらおうなんて言ってるところなんだわ。わっはっは。
── 余ってるんだったら少しわけてもらえませんか？
玄さん： ばか言っちゃいかんわ。宝くじ当たったのはおれなんだから、おめえらにやるわけにはいかん。悔しかったら、当たってみろってな。ははは。


　なんとも幸せいっぱいの当選者であった。彼はこのインタビューの後、延々３時間も社会部に居座りつづけ、これまでの人生の苦労話を記者相手に話しつづけた。そして、しっかりと取材の謝礼金を受け取ってから、スキップでもしそうな足取りで帰っていった。
　あー、腹立つ。。。