催眠をテーマに、拒食症と過食症、無気力学生、マインドコントロールと催眠療法、多重人格など人の心の中をえぐるように語られる長編小説。
　結婚間近のテレビマン「筑紫」の不安定な心を通して、人間の精神的なもろさを描き出す。
　婚約相手との不和、妹の新興宗教への入信、母親との愛憎、パソコン通信で知り合った「美穂」の正体、幼き時の封印された記憶・・・
　自分の心は果たして自分でコントロールできているのか？あらゆる社会的影響によって揺り動かされている自分が見えてくるようだ。
　そういえば、わたしもチャットで知り合った人が何人かいるが、チャットの中の自分と実際の自分とでは、かなりかけ離れているのではないかと感じる。どうも、チャットという雰囲気によってわたしの心は操られているのではなかろうか。
　ともかく、この本を読むことによって、わたしたちは清水義範の考えに洗脳されることだろう。

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